無いものは自ら創る!
廣瀬:そこから、どうしてCGやマルチメディアの分野に携わるようになったのでしょうか?
佐々木:調査結果で得られたイメージを視覚化する必要があるのですが、さまざまな可能性を全てモデル製作することはできません。コンピュータに作らせることができれば簡単になります。そこで、そういうソフトはないかと探したのですが、全く当時1980年代始め頃のコンピュータにそんな機能はなく、仕方なくつくり始めたのが発端です。
廣瀬:ご自身でソフトウェアを作ってしまうなんてすごいんですね。
佐々木:2次元の表示ソフトと3次元の基本表示ソフトは自分で作る他なく、研究に必要な部分は制作しました。工業技術院製品科学研究所(当時の名称)において大平先生に指導を受けましたのが貴重な体験です。現在の研究やコンピュータの考え方もここが出発点です。
廣瀬:当時、デザインに対するコンピュータ環境が発達していなかったからこそ、現在の先生があるのですね。
佐々木:今でもそうです。いまでもデザインに本当に使えるコンピュータがあれば研究しなくてもいいですけど。現在はコンピュータが自動的に模様や形状を作ってくれる方法について研究しています。コンピュータは人の手だけではなく脳の延長なのですが、その機能を十分発揮していないと考えています。
|